ギリシャ指標(グリークス)とは
主なギリシャ指数と意味と計算式
- デルタ:原資産価格の変化に対するオプション価格の変化率
デルタ = オプションのプレミアム価格の変動 / 原資産価格の変動
- ガンマ:原資産価格の変化に対するデルタの変化率
ガンマ = デルタ / 原資産価格の変動
- セータ:タイム・ディケイ(時間の経過)によって1日あたりに減少するオプション価格
セータ = オプション価格の変化額 / 残存日数の減少
- ベガ:インプライド・ボラティリティ(IV)の変動に対するオプション価格の変化率
ベガ = オプション価格の変化額 / 原資産のボラティリティの変化
- ロー:金利の変化に対するオプション価格の変化率
ロー = オプション価格の変化額 / 短期金利の変化幅
他にもありますが、主なものとして5つをあげています。
この5つはブラック・ショールズ・モデルのオプション価格(プレミアム)の変動要因にかかわります。
オプション価格(プレミアム)の変動要因
オプション価格(プレミアム)は、ブラック・ショールズ・モデルという計算式で理論的に以下の値より求めることができますが、ギリシャ指数によって、オプション価格の変動要因に与える影響を数値化してくれます。
- 原資産価格
- 権利行使価格
- 残存期間
- インプライドボラティリティ(IV)
- 金利
金利に関しては、ほどんと変動がありませんので。投資をする際に、ギリシャ指数のローはほとんど無視しても問題ないようです。
デルタとは
デルタは、原資産価格の変化に対するオプションのプレミアム価格の変化率のことをいい、以下の式で表されます。
デルタ = オプションのプレミアム価格の変動 / 原資産価格の変動
つまり、以下のように言い換えることができます。
- デルタの値が高い:原資産価格の変動によって、 オプションのプレミアム価格は大きく変動する。
- デルタの値が低い:原資産価格の変動によって、 オプションのプレミアム価格は少し変動する。
デルタの特性
- デルタの値は、以下の間で変動する。
- コール:0~1(パーセントの場合は0%~100%)
- プット:0~-1(パーセントの場合は0%~-100%)
- デルタが1(100%)とは、原資産価格が1変動したら、オプション価格も1変動する。
デルタの値が0.5の場合は半分になります。先物が100円動いた場合には、オプションの価格が50円(=100円×0.5)変動する。 - オプションのデルタの値は以下のようになります。
- アウト・オブ・ザ・マネーになるほど、0に近づく。
- アット・ザ・マネー付近では、0.5になる。
(アット・ザ・マネーは原資産価格とほぼ同じ権利行使価格) - イン・ザ・マネーになるほど、1に近づく。
現物(先物)のデルタ
先物などの現物のデルタは常に以下になります。
- 買いの場合:1
- 売りの場合:−1
現物のデルタの値は価格によって変動することはありません。常に1か−1になります。
先物オプションと先物でヘッジする際は取引単位に注意する必要があります。
たとえば、日経225オプションと日経225先物ミニで取引する際は、以下のようになります。
- 日経225オプションの取引単位:100=デルタ1
- 日経225先物ミニの取引単位:1000=デルタ0.1(ミニは日経225先物の10分の1のサイズだからです)
ガンマとは
ガンマは、原資産価格の変化に対するデルタの変化率のことをいい、以下の式で表されます。
ガンマ = デルタ / 原資産価格の変動
つまり、以下のように言い換えることができます。
- ガンマの値が高い:原資産価格の変動によって、 デルタは大きく変動する。
- ガンマの値が低い:原資産価格の変動によって、デルタは少し変動する。
ガンマの特性
- コール、プットともに正の値となる。*デルタとは異なる。
- ガンマの値は以下のようになります。
- アット・ザ・マネー付近では、最も大きくなる。
- イン・ザ・マネーやアウト・オブ・ザ・マネーになるほど、小さくなる。
- インプライド・ボラティリティ(IV)による影響は以下のようになります。
- IVが高くなると、ガンマは小さくなる。
- IVが低くなると、ガンマは大きくなる。
- 残存期間によっても変動します。
- 残存期間が長いと、ガンマは小さくなる。
- 残存期間が短いと、ガンマは大きくなる。
ガンマによるプレミアム価格の変動
オプションのプレミアム価格の変動を以下のように計算することができます。
オプションのプレミアム価格の変動 = ガンマ × 原資産価格の変動の二乗 / 2
*なぜ2で割るのか不明です。2つの公式を合わせても割る必要はないと思うのですが、以下のようにカブドットコムのサイトにありましたので、そのまま流用することにしました。
セータとは
セータは、タイム・ディケイ(時間の経過)によって1日あたりに減少するオプション価格のことをいい、以下の式で表されます。
セータ = オプション価格の変化額 / 残存日数の減少
たとえば、オプション価格が100円でセータが−5の場合、1日あたり5円減少するので、翌日はオプション価格は95円になります。
セータの特性
- アット・ザ・マネーのオプション
- 満期が近づくにつれてセータは大きくなる。
- イン・ザ・マネーとアウト・オブ・ザ・マネーのオプション
- 満期の目前になるとセータは小さくなる。
セータの特性上、
オプション価格の変化額 = オプション価格 + セータ × 残存日数
とならず、セータの値は日々変化(大きくなる)ので注意しましょう。
特に、およそ 1 か月以内は日々急激に大きくなる。
ベガとは
ベガは、インプライド・ボラティリティ(IV)の変動に対するオプション価格の変化率のことをいい、以下の式で表されます。
ベガ = オプション価格の変化額 / 原資産のボラティリティの変化
つまり、以下のように言い換えることができます。
- ベガの値が高い:原資産のボラティリティの変動によって、 オプションのプレミアム価格は大きく変動する。
- ベガの値が低い:原資産のボラティリティの変動によって、 オプションのプレミアム価格は少し変動する。
ベガの特性
- ガンマの値は以下のようになります。
- アット・ザ・マネー付近では、ベガは最も大きくなる。
- イン・ザ・マネーやアウト・オブ・ザ・マネーになるほど、ベガは小さくなる。
- 残存期間によっても変動します。
- 残存期間が長いと、ベガは大きくなる。
- 残存期間が短いと、ベガは小さくなる。
アット・ザ・マネー付近のオプションや残存期間が長いオプションはベガが高いため、プレミアム価格は大きく変動します。
ローとは
ローは、金利の変化に対するオプション価格の変化率のことをいい、以下の式で表されます。
ロー = オプション価格の変化額 / 短期金利の変化幅
つまり、以下のように言い換えることができます。
- ローの値が高い:短期金利の変化幅によって、 オプションのプレミアム価格は大きく変動する。
- ローの値が低い:短期金利の変化幅によって、 オプションのプレミアム価格は少し変動する。
ローの特性
- 残存期間によっても変動します。
- 残存期間が長いと、ローは大きくなる。
- 残存期間が短いと、ローは小さくなる。
本ページの冒頭でも紹介しましたように。金利の変化は殆どありませんので、投資の指標としてはあまり意味をなしません。
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