IB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)の証拠金とロスカット(強制決済)の考え方は、他の証券会社やFX会社に比べると非常に複雑です。このあたりもプロ仕様と言われる所以かも知れません。少しわかりやすく説明します。
以下のIB証券のページに証拠金についての概要の説明があります。
証拠金比率計算基準
IB証券には証拠金比率計算基準が2種類あります。
- ルールベースの証拠金
- リスクベースの証拠金
ルールベースの証拠金
ポジションもしくはポジショングループの内容による固定の計算式によって証拠金の基準が適用される。
- マージン口座
- 米国株式、指数オプション、個別株先物、投資信託。
- すべての口座
- Forex(FX)、債券、カナダ、ヨーロッパおよびアジア株式、またカナダ株式オプションと指数オプション。
リスクベースの証拠金
取引所は、ポートフォリオもしくはサブポートフォリオですべてのポジションにおいて、最大のリスクを計算する。
- ポートフォリオマージン口座
- 米国株式、指数オプション、個別株先物、投資信託。
- すべての口座
- 口座内のすべての先物と先物オプション。
- 口座内のUSとカナダ以外の株式オプションおよび指数オプション。
まとめ
- 米国株式、指数オプション、個別株先物、投資信託
- マージン口座:ルールベースの証拠金
- ポートフォリオマージン口座:リスクベースの証拠金
- Forex(FX)、債券
- ルールベースの証拠金
- 先物と先物オプション
- リスクベースの証拠金
証拠金のタイプ
証拠金は市場区分によって、有価証券証拠金とコモディティ取引証拠金の2つのタイプに分かれる。
- 有価証券の証拠金
- コモディティ取引証拠金
有価証券の証拠金
有価証券を購入するために現金の借入を借り入れる。IB証券では「証拠金ローン」という表現になっています。
借り入れることによるレバレッジを掛けられます。日本の株式の信用取引と同じニュアンスです。
算出方法
- 証拠金ローン(証拠金借入) + 証拠金預入 = 有価証券の市場価格
- 証拠金預入 >= 必要証拠金
コモディティ取引証拠金
先物取引などのコモディティを購入するために取引口座へ現金を預ける。
よって本来は有価証券口座とコモディティー口座は別の口座で資金を管理するところだが、IB証券では、有価証券口座とコモディティー口座の間で、自動的に資金移動される仕組みになっている。
算出方法
- 担保=先物取引を行う際に必要な資金額
- 担保>=必要証拠金
証拠金の種類(委託証拠金と維持証拠金)
IB証券の証拠金には、以下の2種類あります。
- 委託証拠金
- 投資の際に口座に預け入れる必要のある、有価証券などの購入額の割合です。
- 維持証拠金
- 投資の際に口座に維持している必要のある、ポジション内の必要最低資産です。
委託証拠金は、FXでいう「必要証拠金」にあたると思います。
有価証券の証拠金とロスカット(強制決済)
非常に難しいので別ページにて解説します。以下を参照してください。
コモディティ取引の証拠金とロスカット(強制決済)
新規注文時の必要な資金(最低維持証拠金率)
以下の2つの条件を満たないと、新規に発注できません。
- 最低維持証拠金
- 流動性 >= $2,000
- 流動性資産価値:現金もしくは流動性資産価値(NAV)
- 流動性 >= $2,000
- 委託証拠金比率
- 取引可能余力 >= 0
- 取引可能余力 = [コモディティの流動性資産価値 – 委託証拠金]
- コモディティの流動性資産価値:先物損益 + コモディティ・オプション価値
- 委託証拠金:取引所による設定
- 取引可能余力 = [コモディティの流動性資産価値 – 委託証拠金]
- 取引可能余力 >= 0
リアルタイムの証拠金計算方法とロスカット(強制決済)
以下の条件に当てはまるとロスカット(強制決済)されます。
- 証拠金余力 < 0
- 証拠金余力 = コモディティ口座の流動性資産価値 – 維持証拠金必要額
上記を整理すると、
コモディティ口座の流動性資産価値 < 維持証拠金必要額
ということになります。
維持証拠金には、オーバーナイト維持証拠金というものがあり、維持証拠金 <= オーバーナイト維持証拠金となっている場合がありますので注意してください。
この場合の証拠金余力の計算は、オーバーナイト維持証拠金を用います。
コモディティ取引の証拠金の一覧
以下のIB証券のページに証拠金の一覧がありますので参照してください。
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